ムスクキシレン(ムスクキシロールとも。英: Musk xylene)は、合成ムスクの一種。
用途
光により変色する性質があるものの安価で香りが強く、石鹸用など多くの調合香料に使われたが、生分解性の低さによる生物蓄積の懸念から1980年代を境に消費量が減少し、欧州連合ではREACHの規制を受け、日本でも使用が不可となっている。
製法
メタキシレンから塩化アルミニウムを触媒としたフリーデル・クラフツ反応により2-クロロ-2-メチルプロパンまたはイソブテンで5位にtert-ブチル基を導入し、硝酸と硫酸の混酸でニトロ化し、粗生成物を95%のエタノールで再結晶化して得られる。
安全性
ニトロ化合物であり、日本の消防法では危険物第5類(自己反応性物質)に分類される。国際がん研究機関は本物質の発癌性をグループ3(ヒトに対する発癌性が分類できない化学物質)としている。
脚注
参考文献
- 湖上国雄『香料の物質工学 -製造・分析技術とその利用』地人書館、1995年、130頁。ISBN 4-8052-0491-5。
- 印藤元一『合成香料 化学と商品知識』化学工業日報社、2005年、408頁。ISBN 4-87326-460-X。




