シラキ(白木、学名:Neoshirakia japonica)は、トウダイグサ科シラキ属に分類される落葉小高木の1種。山地の谷沿いなどに生える。和名は材が白いことに由来する。別名がシロキ、アツバシラキ、オオバシラキ。

1954年に Shirakia属に入れられたが、不正な命名であることが判明してShirakia属の種は、シラキ属、Shirakiopsis 属、ナンキンハゼ属(Triadica)に分けられた。シラキ属はシラキ一種のみの単型である。

特徴

樹高は5 - 9 メートル (m)。幹は直径10 - 30 センチメートル (cm)。全株無毛。樹皮は灰褐色または灰白色でなめらかで縦すじが入り、老木では縦に細く浅い裂け目がある。若木の樹皮は粉を吹いたように見え、触ると白い粉がつくことがある。一年枝は無毛でジグザグ状になる。枝や葉を切ると白い乳液が出る。

葉はカキノキに似た形で、単葉で互生し、葉身は卵状楕円形、先端は鋭く尖り、長さ7 - 13 cm、幅6 - 11 cm、全縁で縁は波打つことがあるが、鋸歯はない。葉の形状に変異が著しい。葉の表面には多少光沢があり。葉の裏面は薄緑白色で無毛で、葉脈が隆起し、葉縁近くの葉脈上に腺が散在する。葉身の基部は切形、葉柄は長さ1 - 2.5 cm、葉身の基部または葉柄が葉身につく部分に腺点がある。托葉は狭長楕円形で長さ1 - 2 cmで、落ちやすい。若い葉柄は紫色を帯び、葉は秋に美しく黄色から橙色、赤色に紅葉する。知名度は低いが紅葉の美しさはトップクラス。

花期は5 - 7月。花は単性で雌雄同株。若枝に長さ5 - 10 cmの総状花序を出し、花序の上部に多数の黄色の雄花を付け、基部に1 - 3個の雌花を付けるが、雌花を欠くこともある。雄花の花柄の長さは2.5 - 3 ミリメートル (mm)、雄花に花弁はなく、萼片は2 - 3個で皿状で、2-3個の雄蕊があり、花糸は短くて基部で合着する。雌花に花弁はなく、柄の長さは約7 mm、萼は2 - 3個で3裂して長さ1 mmほど、子房は2 - 3室、花柱は3個で基部が合着する。

果実は直径1.8 cmの三角状球形の蒴果で先端に花柱が残り、3稜がある。果実は10 - 11月に黒褐色に熟し3つに裂け、白い糸で3個の種子をぶら下げる。種子は直径8 mmの扁球形で、薄黄色に黒い斑紋が入り、細かなしわがあり、約50パーセントの油分を含む。

冬芽は長三角形で尖り、鱗芽で褐色をしている。枝先につく仮頂芽と、枝に互生する側芽はほぼ同大である。仮頂芽は長さ3 - 5 mmの長三角形、芽鱗は2個、無毛。葉痕は半円形で大きく、維管束痕は3個。葉痕の角に托葉痕がある。

分布と生育環境

中国、朝鮮半島、日本に分布する。

日本では、本州、四国、九州、沖縄に分布する。北限が岩手県。

山地、丘陵地の落葉単葉樹林帯に生育し、特に渓流沿いに多い。

用途

庭木や公園樹として植栽されている。木材は器具材、細工物、薪炭などに利用されている。かつては種子の油をしぼって、食用油、灯油、塗料、整髪料などに利用されていた。

種の保全状況評価

日本では国レベルの環境省によるレッドリストの指定はないが、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

  • 絶滅危惧II類 - 秋田県、沖縄県
  • 植物準絶滅危惧 - 鹿児島県

脚注

参考文献

  • 太田和夫、勝山輝男、高橋秀男、茂木透他『樹に咲く花―離弁花〈2〉』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑4〉、2000年10月1日。ISBN 978-4635070041。 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、209頁。ISBN 978-4-416-61438-9。 
  • 田中啓幾『落葉樹の葉』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑12〉、2008年6月6日。ISBN 978-4635070249。 
  • 菱山忠三郎(監修) 編『樹皮・葉でわかる樹木図鑑』成美堂出版、2011年6月。ISBN 978-4415310183。 
  • 馬場多久男『花実でわかる樹木 951種の検索』信濃毎日新聞社、2009年1月1日。ISBN 978-4784070930。 
  • 林将之『秋の樹木図鑑 (紅葉・実・どんぐりで見分ける400種)』廣済堂出版、2017年9月12日。ISBN 978-4331521267。 
  • 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4635070324。 
  • 林将之『樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑14〉、2014年4月15日。ISBN 978-4635070324。 
  • 林弥栄『日本の樹木』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2011年11月30日。ISBN 978-4635090438。 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。 NCID BN00811290。全国書誌番号:85032603。https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467。 

外部リンク

  • シラキの標本 国立科学博物館標本・資料統合データベース
  • シラキの標本(島根県鹿足郡 で1991年6月に採集) 島根大学生物資源科学部生物科学科秋廣高志研究室
  • シラキの標本(1986年4月に同定) 牧野標本館
  • シラキ 筑波実験植物園
  • シラキ 国土交通省近畿地方整備局六甲砂防事務所
  • シラキ 日光植物園
  • シラキ 広島大学デジタル自然史博物館
  • Neoshirakia japonica (Siebold & Zucc.) Esser GBIF (英語) 2025年1月15日閲覧。
  • Neoshirakia japonica (Siebold & Zucc.) Esser (The Plant List)(英語)

シラキ

シラキ

四季の樹シラキ

シラキ 株立 拡大

シラキ 樹木ガイド|植木・庭木・雑木販売、造園|大阪・兵庫・神戸・宝塚